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「結局残ってるし。マナもよくやるわ。見習うべきかな?」
梨央が後ろをちらっと振り返って言った。
莉乃はムカムカしていた。
(人のものを平気で取る?冗談じゃない。奪い取るほどの男か!奪うまでして欲しくもない。)
トレイを片付けてリフレッシュルームを出ようとした。
視界に上村課代が入って思わず視線が止まった。課の他のメンバーと一緒に談笑している。
女の子も一緒だった。上村課代が何かを言い女の子が笑いながら答えていた。視線が離せなかった。
(奪う価値のあるのはあの人……)
めらめらと嫉妬心が湧いてくるのを感じた。女の子は笑い転げ、上村課代と他の男性は楽しそうに会話している。
(嫌。だめ。あの人は私のもの。止めて。)
奪ってやる……私のものにしてみせる。
莉乃はその時初めてはっきりそう意識した。
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