凍える夜に

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よく場所を聞いていたから良かったものの、地元の人間でもそこを民家だと思って素通りする人も多いだろう。 『であいもの』というその店は一見普通のドアの脇に小さく控え目な看板が出ているだけだった。 ちょっと気後れしながらドアノブに手をかけた。 「え?こんなとこに店あったんだ。」 後ろにいた奈央もここが地元だが店は知らなかったらしい。 「最近通ってる美容師さんに教えてもらったの。オススメだって。」 真理沙はドアを開けながら奈央に言った。 「その人、来れたら後から来るかも。年下のイケメンだよ。奈央の好きなタイプ。」 真理沙がからかうように言うと奈央は目を輝かせた。 「嘘、マジで?テンション上がっちゃう!」 「いらっしゃいませ!」 ドアを開けて中をのぞき込むと店主らしき人の元気な声と、声の割にシャイな感じの笑顔が真理沙と奈央を迎えた。
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