凍える夜に

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「そうなんだ。」 なんと言っていいかわからず真理沙はぽつんと言った。 真理沙の発した一言が煙草の煙の輪っかみたいに不安定な形でゆらゆらと漂っているような気がした。 「いつ?」 奈央が黙って箸をいじっているので真理沙は聞いた。 「ついこの間。先週……かな?」 奈央はそのはっきりした目元を激しく動かして何度もまばたきした。表情が歪んで泣き笑いみたいになる。 「大丈夫?」 真理沙はそう聞いてからすぐに続けて言った。 「じゃないみたいだね……」 「……大丈夫。だよ。」 俯いたまま大きく一つ息を吐いて奈央は言った。 無理に笑顔を作っているが目にはかすかに涙が滲んでいるのが痛々しい。 「なんだかカッコ悪くてさ。若い子でもないのに。自分でもみっともなくて。 私何やってんだろ……」
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