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(香織、お前の言った通りだよ。お前が悪いんじゃない。) 香織を初めて抱いた夜…… 腕の中に確かにある香織の体温を感じて果てた体にエネルギーが充填されるのが心地よかった。 夢中で香織を抱いた。 何もかも忘れさせたかった。香織の中にある勇人も涙も消してしまいたかった。 何もかも忘れたかった。 苦しむ香織をそばで見ているのに何も出来ない歯がゆさ。 無力さから来る焦燥感。嫉妬。 香織を抱きながらそんな思いから解放されるのを感じていた。 安堵から和志は微睡んでいた。
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