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その店はミコノス島にでもありそうな白塗りの壁になんと読むかわからないような名前のプレートがついていた。
香織と一緒でなかったら気づくこともなかっただろう。いかにも女の子が好みそうな内装だ。
「ね?いい感じのお店でしょう?」
席に着くと香織はちょっと得意げに言った。
「デートにピッタリって感じ。」
「うん。やだ、これってデート?」
「違うの?」
「まあいいか。デートで。」
「まあいいかって。香織ちゃん?だっけ?香織ちゃんみたいな素敵な女の子とこういう店に来るのをデートって言わないで他になんて言うの?」
テンションが上がっていた。程よい緊張感が和志を普段より饒舌にしていた。
「今日はラッキーだな。」
「どうして?」
「テストが終わったらゴージャスな女の子とデートが待っていた。」
香織はこんな台詞に慣れているのかもしれないと和志は感じた。自分の魅力を十分に意識していて、それがまた彼女の魅力に磨きをかけているようだった。
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