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「上村課代はどちらまで?」
「課代はいらないですよ。堅苦しくなくていいよ。社内の人でもないんだし。僕は東京まで。一緒でしょ?」
「はい。」
沈黙が続くのが怖かった。でも頭が真っ白で何を話していいかわからない。話せるチャンスがあったらいろいろ聞きたいこともあったはずなのに。
「あの、お昼ごはん食べました?」
「お昼?ええ、食べましたよ。」
上村課代は何を唐突に、と言うような苦笑いを浮かべて言った。
「ですよね。」
「え?もしかしてまだだった?お腹すいてる?」
「違うんです。食べました。食べました。」
なんて間抜けなことを言ってしまったんだろう。莉乃は自己嫌悪に陥った。
いざチャンスが到来すると何を話していいかわからない。変なことを口走らないようにしなきゃと思うとぎこちない会話になってしまった。
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