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教室の大きな窓から入る木洩れ日が彼女の髪を栗色に染めていた。涼しい風が入ってきてそのサラサラの髪を揺らす。
彼女は立ち上がってくるりと体の向きを変え和志に笑いかけた。
「終わったね。試験。私はこれで終わり。あなたはまだ残ってるの?」
「いや。俺も終わり。」
口が勝手に答えていた。目は彼女に釘づけだった。魔法にかかったようにどうしても目を離すことができなかった。
彼女はちょうど窓の外の新芽のように鮮やかでいて柔らかいトーンの緑色に見えないくらい細いストライプの入ったカットソーを着ていた。
襟ぐりから胸元にかけて優雅なドレープになっているがウエストはキュッと締まっている。
白いミニスカートからは何とも魅惑的な脚が伸びていた。
こんな完璧な女の子が同じ講義を取っていたことに今まで気づかなかったなんて。
和志は荷物を片付けるのも忘れて彼女を見ていた。
彼女はまた前に向き直り荷物をまとめて帰り支度をしていた。
「帰らないの?」
彼女が言った。教室はもうほとんど人気もまばらになっている。
「帰るよ。駅まで一緒に行かない?」
こんなチャンスを逃すわけにはいかない。
「うん。一緒に行こう。」
和志は心の中でガッツポーズをした。
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