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「俺は中村和志。」
「中村くん。よろしくね。」
香織の髪が風にめくれるようにそよいだ。フリージアの花ともいだばかりのオレンジのような香りが通り抜けた。
和志は一瞬立ちくらみのように立ち止まった。香織が和志の顔を見上げるようにした。
その瞳はクルクルと色を変える湖面に映る光のように輝いたり深い色合いに変化したりするようで和志は目が離せなくなった。
「どうしたの?忘れ物?」
香織がちょっと不思議そうに和志に聞いた。
「いや。」
首を振って和志は香織に並んで歩き始めた。
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