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「梅雨明けたみたいね。」
香織も和志につられるように空を見上げて言った。
「もう明けたね。夏だよ、夏。テストも終わったし。」
和志は大きく腕を伸ばした。完璧な空に完璧な女の子。エキサイティングな夏の始まりに駆け出したいような欲求に駆られた。
「お腹すいちゃった。朝からチョコレートしか食べてないの。」
「俺もろくに食べてない。何か食べていく?」
「そうしよう。テスト終わったら行こうと思ってたお店があるの。付き合ってくれる?」
「もちろん。」
「良かった。」
なんて素敵な笑顔なんだろう。こんな風に笑いかけられて断れる男がいるわけない。どんな先約があったところでドタキャンしたってバチは当たるまい。
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