三姉妹

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ーーー※ーーー 「秋ねぇ!! バカなの?!右と左もわかんないの?!」 控え室に帰って来た私は開口一番そう叫んだ。 何を考えてるのかと思った。 康本にあれほど、『じゃんけんはグーであっち向いて左』を徹底されてたというのに、 このバカ姉は自分の時に限ってパーを出して右を向いたのだ。 そして仕方ないね、とばかり苦笑して台から降りていった。とぼとぼ歩いて帰っていった。 そして今は、目の前で明らかに頬っぺたを赤く腫らして寂しそうに笑っている。 『斎藤秋華をセンターにして新しいムーヴメントを!』を今大会のコンセプトにして、誰の目にも明らかな八百長を仕組んだ康本が、 その鼻をくじかれてその腹いせにどんな行動をとったか、 それがバカでもわかるくらいはっきりした晴れを頬にもって、それを左手で抑えて。 「右ってわかるっ?!右手のついてる方が右!それで、左手のついてる方が左手っ! 秋ねぇは左を向けって言われてたでしょ?!覚えてる?!イヤホンで八時間くらい『左左左左』しか言わないCD聞かされて精神崩壊しかかってたじゃん! ていうか、そもそもまずなんでパーなんかだして」 「魔が差したの。うん。」 「そんな万能な言葉で片付くかっ!」 私は思わず机を殴り付けた。 「秋ねぇは徹底的にバカってのは今日のことではっきりしたけど、でも上下左右もろくに理解できてない、じゃんけんもまともにできないようなバカじゃないってことは私しってんの! 魔が差した?!そんなふとしたことで握りしめてた拳が開いて左右にふれていた指が真逆になるなんてことがーーー」 「ーーーやーめなやめなやめなって弥生。 その口ぶりからしてもう大体わかってんでしょうよ、秋華姉の考えてること。 それをわかっててそうやってグダグダネチネチ責め立てるのはKYど畜生グズ生まれてきてすみません女のやることだって」 「タナバタは黙ってろっ!」 「誰がタナバタじゃゴルァァ!?」 突如飛びかかってくる福島七夕。私は其を押し返しながら顔だけ秋ねぇに向けてこう叫ぶ。 「わかってるよ!わざとってことくらい!でも、私は別に譲られる気なんかこれっぽっちもなかった! 私はこのジャージー乳牛と違って別にセンターに興味もなければむしろ秋ねぇに勝ってほしいと思ってたから、あの糞康本の八百長指示にも全くなんの異論もなかったの!」
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