第1話

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夏未は紫園に携帯端末を渡した。 紫園は左手にスプーンを持ち右手に携帯を手にする。 「もしもし、カズヤか? 俺たちこれからメシだからまた後で電話するわ」 「ふたりで食事か。 いいね、楽しそうで。 僕もできれば早いところ仕事終わらせて、食事でもしたいね」 「こんな時間でも仕事いそがしいのか?」 「役所の仕事は遅くてね。 どんなに早く文書を作って上司へお伺いたてても 決裁が降りるのが遅くてね。 こっちとしては、アフターファイブ以降は 働きたくないけどしかたないんだよね」        和哉は他人事のように話す。
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