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「寒いから中入んなよ。ドア閉めて。」
成沢が顔を出した。
私はおずおずと部屋の中に足を踏み入れた。
部屋の中は暖房が効いて暖かかった。そこはリビング兼ダイニングになっていた。
ダイニングセットの代わりに大きめのソファーがあり、その前にガラストップのテーブルが置かれていた。
成沢はそのテーブルの上だのキッチンのスペースだのを動き回って何かを探しているようだ。
「そこ座って待ってて。おかしいな?どこ置いたかな?」
ソファーを指差しながら成沢は言った。
私は言われるままにソファーの方に移動した。間仕切りで隣の部屋と仕切られている。
今はその仕切りが開けられていて大きめのベッドが目に入った。ベッドは寝起きのままになっていた。
見てはいけないものを覗いてしまった子供のようにうろたえながら横を向いた。
慌ててソファーに座った。
ドキドキしてきた。彼氏でもない男の部屋に上がり込んで何をしているんだろう。
「何そんなにそわそわしてんの?まさか緊張してるなんて柄にもないこと言うんじゃないだろうな?」
成沢は意地悪な笑みを浮かべて私を見ていた。私が焦っていたのを観察して面白がっていたのかもしれない。
「柄にもないって!ひどい。」
私はソファーに座って小さくなっていた。本当は緊張MAXで酔ってしまいそうだった。
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