10人が本棚に入れています
本棚に追加
「わあ、これ?どうしたの?おいしそうじゃない。」
母が冷蔵庫を開けて土産のスイーツを見ながら言った。
「私、明日は出かける。」
私は母に言った。
「あら。」
母はがっかりしたようなとうに諦めているというような複雑な表情をした。
「午後から美容室行ってそのあとは初詣行くわ。」
私は言った。
「またデート?何?付き合ってんの?」
姉が黙ってはいられないとばかりにチェックの猛攻をしかけてきた。
「付き合ってないよ。ただの友達。」
「ねえ、だからどんな人?写真とかないの?」
成沢ならイケメンにうるさいさすがの姉のお目がねにも適うだろう。
「写真なんてないよ。」
私は言った。
「誰みたい?」
「あんまり似てる人とかいない。まあかっこいいよ。」
ごく控えめに言っておいた。
本当はすごいイケメンの部類に入るくらいだと思うけれどそんなこと言ったら大変だ。
「今度写真取ったら見せて。こっそり見に行っちゃおうかな?」
「やめてよ!」
姉ならほんとにやりかねない。私は冗談じゃなくて真顔で抗議した。
「いくつ?」
「いっこ上。26歳。」
「いいじゃん。いいじゃん。いいなぁ。」
姉は心底羨ましいという顔をしている。
「だからなぁんにもないんだって。本当にただの友達。」
私は自分自身に言い聞かせるみたいに言った。
最初のコメントを投稿しよう!