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1月5日。仕事始め。
冬休みなんてあっという間に終わってしまう。ちょっと憂鬱な気持ちでベッドから起き上がった。
勇輝にモーニングコールをしたほうがいいのか迷っているうちに電話がかかってきた。
「おはよう。起こしてくれないんだもん。寝坊したの?」
「起きてるよ。」
「なんだよ。起きてたのか。なら起こせよ。」
「あのさぁ…」
私が言いかけた言葉を無視して勇輝は被せるように言った。
「7時30分ね。下りて待ってるから。」
否応なしに宣言する。私の気持ちなどお構いなしというわけだ。
「でも…私たち…」
「待ってるから。じゃ後でね。遅刻するなよ。」
電話は唐突に切れた。
私はしばらく手の中の携帯をぼんやり眺めていた。
(まあいいか。最初から一緒に通勤してたんだし。最初からやり直せば。)
私は時計を見て慌てて身支度を始めた。
きーんと冷え切った快晴の朝だった。気分とは裏腹に年始の初出勤にふさわしいとは言えそうだ。
「おはよ。」
「おはよう。」
その空のように爽やかな笑顔で勇輝はにっこり笑った。この前の出来事なんかなかったみたいに。
今までと違って駅までの道を並んで歩くだけでなく手と手がしっかりと繋がれていた。
彼女の事があって私達の付き合いは宙ぶらりんになっているがつないだ手から勇輝の力強さを感じて和む。
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