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「ちょっ…」
勇輝は両手を上げて私を見下ろしていた。
「離れろよ。いつまでくっついてるんだよ。」
ちょっと困ったような照れ隠しのような口調。拒絶されたわけではない。
「やだ。離れない。絶対離れない。」
私は両手で勇輝の背中を抱いて胸にぴったり顔をつけた。勇輝の鼓動が聞こえる。
「ごめんね。」
顔を上げて勇輝を見上げた。
「もうよそ見するなよ。」
「うん。」
「俺だけ見てろよ。」
「うん。」
私は上目遣いに勇輝を見上げて下唇を人差し指でつついた。もう一度勇輝を見上げてから目をつぶる。
勇輝は知らん顔している。私はもう一度今度ははっきりと唇をつついた。
「だめ。罰としてお預けだよ。」
勇輝はイジワルに言う。
「やだ。キスして。」
「だめ。」
「もう。意地悪。」
勇輝はちょっと首を傾げて私にキスをした。とたんに私は何も考えられなくなる。
唇と一緒に頭も体もすべて吸い尽くされるように勇輝のキスに夢中になった。
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