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「降りないの?」
勇輝の感情のこもらない声が怖くて痛かった。
「ごめんなさい。」
私は小さな声で言った。勇輝はハンドルに手を置いたままで私のことを見ようともしなかった。
「でも誤解だよ。さっきの人はただのお客さんだし。たまたま方向が一緒だからリーダーと三人で帰ろうとしてただけだし。」
勇輝は薄く笑った。拒絶するような薄笑い。
「やめろよ。」
薄笑いが消えキッと鋭い目つきになって勇輝は言った。
「ただの客に肩を抱かれてタンタラスで写真も撮るのか?いい仕事だな。」
「それは…ただのオプショナルツアーだよ!」
「ふうん。オプショナルツアーね。キスもエッチもオプションか?」
「そんなことしてない!」
「俺も金払わなきゃいけないのか?」
勇輝はサディスティックに笑いながら言った。
「なんでそんなこと言うの?」
涙が出そうだった。わなわなしながらそう言うのがやっとだった。
勇輝がいきなり私に襲い掛かるみたいに唇を押し当て胸を強く揉んだ。痛かった。
「止めてよ!」
私は腕を伸ばして勇輝の体を運転席側に押しやった。
「嫌だよ。こんなこと…」
勇輝はさっきより残酷に笑っていた。
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