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「人間は嫌いなの。他人を傷付けるしかできないから。
真っ白な人もいるけどさ、殆ど真っ黒。
ま、私も黒の劣悪種なんですけどね。」
こうなりゃ半ば自棄だった。
全部晒せば大抵は消えていくもの。
みんなみんないなくなる。
仮面は、厚く、厚く…
「そんなことないって!
みんな気になる要素があれば話してくれるよ。
ってか、私が話すから。」
「…は?」
うわ、予想外…
滅多にいない、本物の白。
私に関わったらろくなことがないのに。
お馬鹿だな、この人…。
「ま、まぁ…私から行くことはないですよ?」
「大丈夫大丈夫。だから、それはなしね?」
魅威先輩が私のiPodを指差す。
「わかりました。また、今度…」
とりあえず言われたようにiPodをしまって軽く会釈をする。
さて、彼女は本物だろうか…。
人を観察するのは苦しいけど、楽しい。
ああ、結局みんな黒いんだ。
そいつの仮面が消えた瞬間の表情。
ゾクッとしてたまらない。
ちょっぴり楽しみで授業に出れた。
どんな風に私と絡むんだろう。
見られたくないから屋上集合かな…
いろんなことが浮かんでくる。
一番後ろの一番奥。
窓ガラスの先には真っ青な綺麗な空。
いつもそれを眺めるつもりなのに
今日はびっくりした。
私が笑ってる。バンド聞いてる以外で。
この、私が…
あいつ、やりおる…
ファンレターをファイルに入れて
珍しく授業に集中することにした。
あいつの為なんかじゃない。
終業のベルの音が響き渡る。
しっかりと次の授業の用意をして立ち上がる。
「来たよー!」
「げ…生徒会長…」
有名人が来たせいで教室がざわめく。
おめでとう私。有名人の仲間入りだ。
めんどくさ…
「すみません、先輩。お呼び立てして。」
とりあえず仮面をつけて話しかける。
ここでの私は優等生。
優等生をしなければならない。
喩え目の前の小動物が素顔を知ってても。
早速私は人気のない体育館裏に魅威先輩を拉致った。
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