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『ねえ、ほんとにあたしのことが好き?』
『当たり前だろ』
『あの子……よりも?』
『あの子?』
そう言って首を傾げながら眉を寄せる琉生(ルイ)。
『同じ会社にいる、あの子のこと!』
綺麗な顔を歪ませて叫ぶようにそう言った彼女は、そのまま琉生の胸をどんどんと叩いた。
そんな彼女にふっと微笑んでやさしく髪を撫でながら彼女の顔を覗き込む。
『ああ、あの子はただの同僚。俺にはおまえだけだから』
そう言ってそのまま彼女にそっと口付けた。
その瞬間、わたしは琉生からパッと目をそらす。
ほんとなら今日は一緒に過ごすはずだった。
なのになぜかわたしは、ブラウン管の中で他の女とキスをしている琉生を見ている。
今日はクリスマスイヴなのに。
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