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ドラマの中での琉生のキスやベッドシーンは何度見ても慣れることはない。
見るたびに胸は痛むし涙がこぼれそうになる。
だけど琉生は仕事としてそれをやっているんだからしょうがない。
と、何度も自分に言い聞かせてきた。
だけど今日はイヴなんだよ?
演技だとしても、他の女とのキスなんて見たくなかった。
ふとテレビの上にある壁掛け時計に視線を移す。
あと一時間でイヴが終わってしまう。
二時間ほど前に琉生にかかってきた電話から漏れてきたのは女の声だった。
そのあとすぐに隣の寝室へ行って話していたけれど、
『今から行く』
という声は聴こえてきた。
そのあとすぐにリビングに戻ってきた琉生は、
『ちょっと出てくる』
と言って飛び出していった。
『どこに行くの?』
と訊いたら、
『煙草を買ってくる』
と言っていたけれど、ほんとは女の人に会いに行ったんでしょ?
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