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◇◇◇
「……み……彩未(アミ)……」
ゆっくりとやさしく髪を撫でられているのを感じながら耳に届いてきた声。
「……んっ……」
重くてあげることのできない瞼に柔らかい感触と共に、ちゅっ、というリップ音が聴こえてきた。
ゆっくりと目を開けると、光と一緒に飛び込んできたのは琉生のドアップ。
「彩未、おはよう」
そう言った琉生は爽やかすぎるほどの笑みを浮かべていて。
いつの間にかテーブルに突っ伏して寝ていたわたしは、ゆっくりと頭を上げながら視界の隅に入ってきた料理たちを見て、さっきまでの出来事を思い出した。
それと同時に自分でもわかるくらいに不機嫌な表情になってしまって、慌てて顔を背ける。
「彩未? どうした?」
そんなかわいくない態度をとったわたしに、琉生はやさしく訊いてくる。
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