第1話

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講義を受けた男性が部屋に戻ってくる 「次、何すっかな。」 緑のリュックから一冊のノートを取り出し、ノートにびっしりと書かれた一文の中から選び始める男性 「ついでに消しとくか。」 ノートのある一文をボールペンで横線を引き、また選び始める男性 「よーし! 次は、年賀状作りだ。 でも誰に出すんだ? まぁ、それは後に決めればいいか。」 ノートをリュックに仕舞い、棚の引き出しから一本の鉛筆とハガキサイズのスケッチブックを取り出し、デザインを考える男性 「うーん…… やっぱし干支は、いるだろ。 あと明けましておめでとう的な挨拶もだな。」 男性がデザインを考えていると部屋のドアをノックする人物 「どうぞ、開いてます。」 男性の返事を聞いて青のマフラーを巻いた女性が部屋に入って来る 「あ、あの……」 「やっぱ前の干支と次の干支のバトンタッチ的なものの方がいいかも。」 「あのッ!!」 「ん?何?」 スケッチブックを見ながら女性に尋ねる男性 「怒ってますか?」 「何を?」 「外にあったキャンバスの事、なんですけど……」 「あぁ…あんたが犯人?」 「ゴメンなさいッ!!」 スケッチブックにデザインを描く男性に女性が頭を下げる 「いや、謝れば全て解決ってもんじゃないから。」 「ですよね……」 男性の台詞を聞いて苦笑いしながら頭を上げる女性 「キャンバスさえ返してくれればいいから。」 「それが…もう私の手元には無いんですよね。」 男性の手から鉛筆が落ち、鉛筆の落ちた音が部屋に響き、ゆっくりと女性の顔を見る男性 「説明してくれるんだよね?」 「はい! 実は、昨日の夕方にここの前を通り掛かってですね。 外にあったキャンバスの絵があまりにも好みだったもので… つい、誰も居ないのをいいことに持ち帰りました。」 「それで何でキャンバスが手元から無くなるんだよ。」 「続きがありまして。 家に帰ってから妹とチャットをしていたら私の部屋に飾ってる貴方の絵に妹が食いつきましてですね。」 「じゃあその妹にキャンバスをやったと。」 「まぁその……おっしゃる通りでして。」 「じゃあ明日なら持って来れる?」 「それは無理です、はい。」 「え?」 「だって今、妹がいるのフランスですから。」 「ふ、フランスッ!?」 「はい、朝一でフランスに送りましたから。」 「マジで…?」 「はい!」 「じゃあ、あんた何しにここに来た訳?」
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