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手紙によると、あなたは蛍君の溺死について、それが過失だったのか、自殺だったのか、自殺なら、それが何に原因しているのか、あるいは不治の病を儚んで死んだのではないかと思い悩まれているようだ。
そしてわずか一月ほどの間に、あの療養地の海岸で偶然、蛍君と出会ったというような、一面識もない私に手紙をくれたのであろう。
私はあなたの手紙で初めて蛍君が溺死したことを知った。
私は驚くと同時に「蛍君はとうとう月世界へ旅立ったのだ」と理解した。
何故私がこんな奇異なことを思ったか、それを今ここで話そうと思う。
それはあるいは蛍君の死の謎を解く一つの鍵であるかもしれないと思うからだ。
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