124人が本棚に入れています
本棚に追加
「さて。今日の所はこれくらいにしましょう。
今日いくら考えたってどうしようもないこともあります」
「まさに一寸先は"闇"………だしな?」
ミカエルが場を取りまとめた所で、大和が茶々を入れた。
たまに大和は上手い事を言う。
「さて、ところで………。
何故あなた方は手を繋いでいるんですか」
………突然だった。空と静風で繋がれている手を睨み付けながら、ミカエルは電撃の如くその一言を放った。
そしてそれは、いとも簡単に、静風の弾薬庫に引火した。
氷が張り詰めたような凍えた空気から、火花が飛び交う戦場のそれへと一変する。
空の危機感知能力が激しく警鐘を鳴らしている事に加えて、大和を手前にした純粋な恥ずかしさから、空は慌てて手を離そうとした。
しかしそれを空でさえ振りほどけない程の腕力で静風が引き戻す。
「いや!この手はうわっ、しずむぐっ
「何故ってミカエルさん?私と空は家族ですもの。
これくらいのスキンシップは当たり前でしてよ?
そもそもミカエルさん、貴女は空の使い魔ではありませんこと?主に意見する立場にないのではないですか?」
空は静風に引き寄せられた胸の中でモゴモゴと足掻くが、静風相手に手荒な手段にも出ることができずにいた。
後頭部の方向で誰かが(恐らくミカエルが)立ち上がる音と、誰かの(恐らく大和の)ため息が聞こえる。
「今すぐ、空様から離れなさい!無礼ですよ!
それに私は使い魔ではありません!空様との共闘を誓った、正式なパートナーです!
たった今、空様の生命の危機を感じました!空様が窒息死する可能性があります!今すぐその手を離さなければ………」
「ふーん。今すぐこの手を離さなければ?
どうするの?空の唯一の家族のこの私に?ねぇ空?私達家族のスキンシップを邪魔するなんて、酷いことをする人がいるものね。そう思わない?」
「くっ………卑怯な………!」
「俺は帰るぜー。せっかく明日休みなんだ。
帰ってたらふく寝よー」
この世の命運のため、必要な事とはいえ………。
この二人を会わせたのは間違いかもしれない。
それから小一時間続いた言い合いを経て、そう思わずにはいられない空であった。
最初のコメントを投稿しよう!