冒頭 天使説

2/5
122人が本棚に入れています
本棚に追加
/191ページ
その昔、世界が生まれる刻……… 神が存在した。 そう、神はただ存在した。 何もない空間で、ただただ存在していた。 ある……………疑問が浮かんだ。 "自分は何だ?この世界は何だ?" 神は世界について疑問を抱き始めた。 全ての理について。己について。 そう。 神を突き動かすもの、それは疑問であった。 故に神は人を作り出した。 この世の理を見極めるために。 いや、もし"人"という存在をコミュニティーや社会性という言葉とともに定義するならば、正確ではない。 人の基となりうる生き物を創ったにすぎない。 欲を基盤とした行動、本能に従った生き様。 だが、それらの生き物はすぐに人としての片鱗を見せ始めた。少しずつだがコミュニティーが形成され、それは集団、そして社会とまで言えるものまでに発展した。 神として、目を見張るものであった。 人は、それ単体では成り立たず、常に社会を持つことで存在できる生き物である。いや、それは人のみに言えることではない。それ以外の生き物においても、少なからずのそれは存在する。 では………私とは何か? そうか私は"生きて"いないのだ。
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!