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亜空間から白いローブを三つ、取り出す。それをそれぞれに羽織らせ、優しく三人の肩を抱き寄せると、力強く抱き締めた。
「もう大丈夫。大丈夫だよ。よく頑張ったね」
堰を切ったように三人の嗚咽が漏れる。震える手で、握力の無くなった手で、血だらけの手で、しかししっかりとしがみつくその手に、自らも安堵を感じた。
「さぁ力を抜いて、なるべく傷口を見えるところに」
三人はそれに従い、腕や足の裂傷を露にした。おそらく嘴か、例の爪につけられたであろうその傷には、血で固まっているものや、未だ出血しているものもあった。
「"ケア"」
柔らかい山吹色の光が三人を包み込む。
それぞれの傷口に光が集まったかと思うと次の瞬間には傷はなくなっていく。
これは癒しの魔法。一般的に回復魔法と言われるそれは、生き物の生命力、基礎治癒力を高める。
一通り傷を癒し終えて顔をあげると、少女達はもう泣いてはいなかった。話を聞くとその三人は近くの町に住んでいるのだという。連れ去られたのは三人ともバラバラ。一番早い子で四日前とのことだった。
「立てる?」
その言葉に二人は立ち上がった。一人はどうやらまだ足がすくんでいるようだった。仕方なく、背中と膝に手を差し込み、両腕で持ち上げる。
「ひゃっ」
「ごめん。恥ずかしいかもしれないけど、少しだけ我慢してね」
先程とは正反対の小さくあがった悲鳴に謝罪すると、女の子は顔を伏せたままこくこくと頷いた。
まずは………そうだな。
「"転移"」
あたりを一瞬光が包んだかと思うと、次の瞬間には、周囲の風景がころりと変わっている。町の市のような所だ。それなりに暗くはなってしまっているが、そこそこ人がいた。
その中の一人、中年の男性が、こちらに気付いて目を見開く。僅かに口が開いた。
「チサ?………チサ!!!!!」
「お父さん!!!」
偶然にも、走り寄ってきたのは抱き抱えている子の父親だった。混乱と興奮と安堵、そして怒りが入り混じった様子で声を荒げる。
「ほんとにチサなのか?どこに………どこに行って…。どれだけ心配したと思ってるんだ…」
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