第7章 天使と悪魔

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空も思わず身震いがした。 それは間違いなく………戦争。 到底、空達のみで相手できるような数ではないだろう。恐らく、大悪魔の相手ができるのは空だけだ。他の魔物を相手している暇はない。 そうなると、少なくとも空を抜いた戦力で魔物の軍隊を切り開いてもらわないといけない。 しかし、仮に。このギルドのAランク以上の者が束になってかかったとして………それでも足りないのではないか? こちらは敵の所在が掴めない以上、どうしても後手となり、国を護りながらの戦闘になる事は必然だ。もしも何万という魔物が襲ってきたとして、ギルドランクAランク以上の千人足らずでどうにかなるのか?いや到底無理だ。 「確かに、早急に手を打っていく必要があるわね。 でも………今できる事といったら、防御策を練る事と、こちらの戦力の強化しかないかもしれない。 流石にこのアルテミスは、私達だけで護るには大きすぎる」 静風がギルドマスターとして何かしらのアクションを起こさなければならないのは確実だ。 しかしこの仮説を押すには、あと一つ足りない。 それを踏まえて、空は"白翼"としての意見を述べた。 「しかしあくまで………まだ可能性の話だ。もしも今アルテミスの国民にこの話をしたところで、真に受ける者がいるとは思えないくらいにね。 でもこの仮説からハッキリした事がある。それは相手が魔物の軍隊を作ろうとしている可能性がある事。そしてその場合、現状ではほぼ確実に人間側が負けるという事だ。 ………準備が必要だ。確かに今起きている数件では国中を納得させるのは無理だろうね。だからこの仮説を発表するタイミングは慎重になるべきだ。 そのタイミングは静風と国王に任せるよ。 そしてそれまで僕達は、信用できる人達に警告し、戦力に引き入れていくしかない。だから混乱を避け、国民の信用を得るためにも、当分のうちは表沙汰にならないようにした方がいいと思う。 何て言ったってその仮説でいくと、この国のどこに敵のスパイがいるのかも解ったもんじゃ無いしね」 空の意見は通り、当面は内密に地盤を固めていく方向で決定した。ただ空の提案に加えて、もしもあと一つ可能性を裏付ける出来事があればその仮説を公表する事。それから、敵について出来る限りの情報収集。各々のスキルアップ等が対策として挙げられた。
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