第1章 報酬280億円

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空というのは僕の名前だ。 本名は天宮 空(アマミヤ ソラ)。二つ名は"白翼"。 そしてこの人は天宮静風(アマミヤ シズカ)。黒髪のショートヘアー。少しキリッとした印象の目、鼻筋。背はすらっと高く、全体的に細身。少し見上げる感じになってしまう。普段は自称"氷の女"を気取っているため、天の導きの高嶺の花とさえ称される。このギルド"天の導き"を取り締まっているギルドマスターだ。 ギルドランクはSS。風魔法を得意とする彼女の二つ名は"疾風の姫"。若干二十歳にしてギルドマスターに選ばれた彼女は国内でも指折りの風魔法の使い手である。 そして、自分にとって唯一、家族と呼べる存在であった。血の繋がりはない…のだと思う。そこら辺はあまりはっきりとは聞いたことはないが、静風はまだ二十五歳だ。そして、僕が小さな時のエピソードもしてもらったことはない。 しかしそれは些細な事だった。母親のような、姉のような、時に友達のような彼女の存在は、紛れもなく特別だった。 「そういえば、被害者の子達は大丈夫だったの?検査終わったんでしょ?」 被害者の子達。昨日のカイムの一件で拐われていた女の子達だろう。 「うん。何も問題は無かったよ。精神的にも大丈夫そうだった。今家族と一緒に転移で送り届けてきたところだよ」 転移。何回か使っているその魔法は、つまりはテレポートである。一瞬で別の場所へと移動する魔法。そこそこ魔力を消費する為に、使用には一定のレベルが必要だ。しかもそれも自分一人に使用する場合の話で、人数が増えれば増えるほど必要な魔力は跳ね上がる。 ふと気付けば、静風がニヤニヤしながらこっちを見ていた。 「さては…またファンを増やしたわね?」 「何でそうなるんだよ…。 あ、そうだ。前からの疑問だったんだけどさ、ここのロビーを通る時なんだけど………。なんで僕が"白翼"だって事がわかるのかな?いっつも白いコートは着てるけど、白いコートなら他にもいっぱいいるし………」 静風はいつものように、頭をくしゃくしゃと撫でてくる。頭を撫でられるのは嫌いではないが、少し照れくささを隠しきれない。 「やっぱり解るものよ。空気が違うって。 なんたって全世界でも五人しかいないSSSの中でも空の力は飛び抜けてるってみんなもわかってるし………。 何より普段から纏ってる魔力の質が違うもの。 中級魔法くらいなら何もしなくても防いじゃいそうだしね」
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