第1章 報酬280億円

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そうか………身体強化の魔法でバレてたのか いつもやってることだからあまり気にしてなかった……… ………"魔法"。それはこの世界では力、知恵として使われている。 基本的に空気中にある魔粒子という物質を体内に取り込み、魔力に変換後貯蓄、使用。こんな流れによってそれは行われる。 魔力の使用には大きく分けて二つ。 一つは魔力を身体に纏わせ、身体能力を高める"身体強化"。 もう一つは蓄積した魔力を放出することによって効果をなす"攻撃魔法"と"防御魔法"、そして"回復魔法"だ。攻撃魔法と防御魔法は字の通り、戦闘においての攻撃防御手段だ。 ちなみに先程も話題に上った"属性"についてだが、魔法では取り込む魔粒子は同じでも使役者によって使用される際に性質が変化する。属性は火・水・風・雷・地・光・闇の七種類に大別される。 その他に中級魔法、上級魔法等の威力のクラス分けなんかもあったりする。 静風はもう一度空の頭をくしゃっと撫で、部屋の奥にある机に戻っていった。静風もここのギルドマスターになってもう数年。仕事に慣れてきたとは言え、まだまだ慌ただしい毎日を送っている。 しかしそれでも、この静風の書斎をぐるっと見渡すと、仕事への慣れを感じさせるものだ。最初の頃は整理、処理できない書類が散乱し、その上でいつの間にか寝てしまっている等といった事も多くあった。しかし今では書類は机の端に十数枚置いてあるだけで、あの頃とは見違える。 「そう。今日はね……… 特別な任務があるの!」 特別………。静風がその言葉を使うときは大抵が面倒事である。あまり聞きたくはないが、空ですら面倒という事は"他には任せられない重要な任務"という事でもあるのだ。 と、言いくるめられたいつかを思い出していた。 仕方なく空も机に近寄ると、椅子に腰掛けて脚を組んだ静風が書類を一枚渡してくる。その書類越しに短いスカートから伸びた白いスラッとした脚に目が行ってしまい、少し不自然に目を逸らしてしまう。 「今回は少し長い任務になるわ。もちろん空にしかまかせられないし、私個人としても、あなたに受けてほしい。約四年。気長に楽しみなさい」
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