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はたして本当に良いのだろうか…?
十五歳としての楽しみを見つけても。確かに習うことは全て知っている事だ。学校になんていく必要はないかもしれない。
しかし、やはり行きたいという希望はあった。子供じみているかもしれないが、友達というものも欲しい。
自分で言うのもなんだが、現在僕には友達がほとんどいない。そのほとんどというのも、一般的に友達がどういった付き合い方をしているのか解らないとすれば、片思いという事も考えられる。
正直言って、空は相当に悩んでいた。
すぐに結論を出さなければならないという事ではないだろうが…
「具体的に、何をすればいいの?入学って事は"白翼"ってことを隠しておくのかな?」
「そうね。一応護衛対象にも知らせず、"白翼"としてではなく、天宮 空として入学してもらう。偽装ギルドカードも用意するし、問題ないでしょ?」
空=白翼。その事を知っている者は少ない。国王とその周辺、静風。それと片思いかもしれない友達だけだ。そこに関しては問題はなさそうだ。あとは武器を使わないのと派手な事さえしなければ良い。それでバレないだろう。
静風はもう一度、優しい顔のまま、頷いて見せた。その姿は、空の不安や迷いを吹き飛ばすには十分だった。その全てを任せられる様な微笑みで、空は大きな力で背中を押された気さえした。
再度書類に視線を落とす。
今考えると、最初から腹は決まっていた様な気もする。
それにしても、報酬280億だって………?あのオッサン………。こんな額ほんとに出せんのか?
不敵に笑うと、空は一番下の署名と書かれた欄に、"ギルドランクSSSランク、白翼、天宮 空"と書いた。そして報酬の欄を二重線で消す。
「国王に言っといてくれる?報酬は経費だけでいいって」
「分かったわ。任務は学校の時間外で今までのように行っても良いそうよ。もし、寂しくなったら何時でも戻ってらっしゃい。好きなだけ脚を見せてあげるから」
ぴらっとただでさえ短いスカートを目捲り上げる静風。その言葉と仕草に顔を赤くしながら、空はそそくさと部屋を後にした。
思わず自室へ向かう足取りが早くなる。
不安と期待、それらの入り交じった感情と共に、胸の高鳴りは到底抑えられるものではなかった。
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