第2章 急がば回れ

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―――――――――― 空は、教室の片隅、窓際の席で頬杖をついていた。 教卓には先生。誰だっけ? 顔が思い出せない。男性だったような気がするが顔がボヤけていてはっきりと見えない。 ところでこれはなんの授業? ふと机の上に視線を落とす。 そこには赤い目玉が二つ。縦に切れた瞳孔。 座っていた椅子を弾き飛ばしながら慌てて飛び退き、刀を抜く。 あれ?ふと我に返ると、そこに目玉はない。 まずい…そういえば不振な行動をとってしまうと、怪しまれる。白翼という事がバレたら二度と学校にはいけなくなる。 恐る恐るクラスメイトを確認すると、先生を含めた全員がこちらを見ていた。血のような赤い目で。 「おい!空!」 はっと上半身を半分起こす。 横には空の肩に手をかけ、心配そうな表情をしている青年がいた。十分に知った顔なのだが、その燃えるような赤い髪で、赤い目がフラッシュバックする。 違う。 違う、落ち着け。 まだ……………入学すらしていない。 なんて夢だ………。 その事を再度自分の頭に確認すると安堵と共にもう一度ベッドに倒れ込む。目を閉じると、多数の赤い目がまだ脳裏に浮かび上がる。身体の感覚が戻ってくると同時に、背中や額にじんわりと汗が滲んでいる事に気付いた。交感神経の過活動によるものか、心音は頭のてっぺんまで響いているし、心拍数も上がってる。右手で額の汗をぬぐい、額と目を水属性の魔法を纏った手で冷やす。 こんな夢を見るなんて、悪い冗談だ。 「お前のそんな姿、初めて見たぜ」 手の隙間から声の主を覗くと、ニヤニヤしているのが見えた。このニヤニヤ顔はこいつの専売特許だ。 「うるさいなぁ。何しに来たんだよ」
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