第3章 弁解と紹介

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ここは………どこ? 目が覚めた瞬間、見知らぬ天井が目に入った。白い清潔感のある天井だ。寝返りをうって横を向くと、ベランダへ出られる大きな窓がある。 そしてその向こうには第1から第3までの大きな闘技場の建物とフェアリー魔法学園の校舎。さらにその奥には一応魔法学園の敷地内である森と山々が見えた。今日はとても良い天気で、窓から眩しいほどの日光が射し込み、反射して部屋の中を満たしている。校舎の向こうにみえる森は緑々と鮮やかに生い茂り、山々の上にはまだ僅かに積雪が残っている。 なんとも言葉の通り、目の覚める光景だった。 あ、そうだった。 今日から、今までとは一味違う生活が始まる。任務には代わりない。護衛の対象は大物だ。しかも四人も。残念ながら報酬金はないが、この"普通の15歳としての生活"が空にとっては報酬なのだ。 今日から天宮空は学生というものをやる。 上半身をむくっと起き上がらせると、段々と胸が高鳴るのが解った。窓と反対側には勉強机と段ボールが置いてあり、段ボールの側には積み上がった教科書。まだ時間割りや科目について詳しく聞いていなかったので、今日は使用しないというか持っては行かないが、明日からはこれを持って学校にいく。 残念ながらこの学生寮は学園の敷地内にあるために、登校時間は短いが、それでも「水曜日は鞄重たいんだよなぁ」なんて言いながら大和と二人で校舎に向かったりして。そこで色々な友達と合流しながら、教室に着き、先生が「静かにしろよー朝礼始めるぞ」ってな感じで一日が始まる。 こんな気持ちは初めてだ。 今日は登校初日、まずは朝一番で仁さんの所にいかないとなんだっけ?そう思い出して掛け布団をはね除け、リビングへと向かう。この部屋にはまだ時計がないのだ。 ところでこの寮はかなり贅沢だった。学生一人一人に部屋がある上にリビング、寝室、キッチン、トイレ、お風呂がそれなりの広さで提供される。代金は解らないがきっと安くはない。任務の報酬金の代わりにここの料金を出してもらっている為に、どれ程の額なのかは解らないが………。 リビングに最初から置いてあった時計を見れば午前10時を指している。 これ、昨日はセットしてないけど、もしかして正しい…のか? もしかしてこれは………………遅刻、というやつなのか? 答えは"……………解らない"。
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