第7章 天使と悪魔

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ミカエルの表情が一層暗くなり、再び話し始めたが、今度はその言葉の端々に恐怖や不安が見え隠れしていた。 右隣の静風が、空の手を掴んだ。 その手が僅かに震えていた。 「………そうです。 恐らく、大天使………空様が再びこの世界に御姿を現したのは単なる気紛れではありません。 ここからは更に推測の域ですが………。 封印されし偉大なる王、"大悪魔"の復活が近いと考えられます。創成の頃から数千年。一度も御姿を現さなかった大天使様が現れたとなると、それしか………」 静風の手に力が入る。もしかしたら空の手にも無意識の内に力が入っているのかもしれない。 「聖霊界では未だ異変はありません。 人間界で、今までとは違う、変わった事などはありませんか?」 そのミカエルの言葉を聞いて空は背筋が凍りついた。 そして最近の出来事が口を突いて飛び出していた。 「南のグリードで起こった、魔物の連携による襲撃………。 物理的及び魔法的な縫合を受けたカイム………」 「何か思い当たる節があるのですか?」 ミカエルがその話題に食い付き、静風が説明した。同時に、カイムについては大和も初耳だったので、二人の深刻な表情が更に極まった。 魔物の連携とカイムの不可思議。どちらも今までには考えられなかった事だ。 そして空の頭には、今の今まで忘れていた、ある夢の中の言葉が響いた。風花先生との戦闘訓練の後、気絶していた時に見た夢だ。 暗い暗い場所で、男が一人。 "もうすぐ全てが、闇に染まる……………" この夢の事も話しておくべきか。いや……………あれは単なる夢だったのかも知れない。話したとしても無駄に静風達を怖がらせるだけだ。確証が持てるまでは黙っておこう。 「大悪魔の復活がいつかってのは大した問題じゃねぇ。空が大天使だってんなら、空が人間界に現れた十数年前からいつ"大悪魔"とやらが復活してたっておかしくねぇって事だろ。 魔物の異常行動について言えば、今入ってる情報から整理すると、可能性は三つ………」 最初から沈黙を決め込んでいた大和だが、誰も発言しなくなった所で話をまとめ始めた。 「まず一つ。大悪魔の復活が近づくに連れて、魔物が何らかの間接的な影響を受けている可能性。しかしこれの可能性は低い。何故ならまだ二件…影響を受けている魔物が少数過ぎる。 ………次だ。実は既に大悪魔は復活していて、身を潜めている可能性」
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