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「いえね、『見えなかったら死んでしまう』なんて物騒な事は申しませんの」
「そうそう。死んでしまう方の場合は死んでしまう未来がみえますのでね」
「ただ、私たち、未来が見えないと少し困ってしまうのでねえ」
「そうそう。まあ、言って見れば、ごく個人的な事情で、良平さんに受け取っていただきたいものがあるんですの」
「受け取って貰いたいもの?」
良平が口を挟むとスカーレットとターコイズブルーは、それぞれがダマスク模様のストールと同じ色の、長い爪の先から、まるで手品のように、銀色の容器がひとつずつ現れた。そして少しも狂わず、二人は同時にこう言ったのだ。
「「ハッピーピルズと申しますの」」
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