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良平はとにかく、無性にその銀色の容器が欲しくなった。
「その容器を僕にくれるって言うんですか?」
「ええ、容器もです」
「そうそう。重要なのは中身なんですの」
「私が持っている物の中には赤いピルが」
「そうそう。私が持っている物の中には緑のピルが」
「怪しい薬を試すような馬鹿な真似を僕はしないよ?」
「滅相もない。法律で許されていないような、あるいは許されているような、神経や精神にまで異常をきたすような物とこれを混同されては困りますの」
「そうそう。ピルと言っても、少しもお薬のような成分は入っておりませんの」
「じゃあ、一体?」
「良平さんの未来が私たちに見えるようになる成分が赤いピルに入っていますの」
「そうそう。ただ、不手際のお詫びもかねて、ちょっとしたおまけをつけているんですの」
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