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こんなに重かっただろうか?
握りしめた容器の重さの違和感に首を傾げてから、まず一つ目を開けてみることにした。
容器をよく見てみるとターコイズブルーが持っていた懐中時計と同じ亀の絵が描かれていた。丸い容器の側面にある小さな突起を押すと、バネが弾けた。
「え? マーブルチョコ?」
中身を見て、良平は思わずそう呟いた。手に取ってみても、どう考えても赤いマーブルチョコレートにしか、見えない。良平は狭いキッチンスペースに行き、それをまな板に乗せて、包丁で真っ二つに切った。割れたそれの匂いを嗅ぐとチョコレートの匂いがした。
「やっぱり単なるいかれた婆さんの双子だったってだけか」
良平は、割れた二つを口にいれた。
「チョコレートじゃ、僕をゆみみんの犬にはできないよな」
最後にそう呟くと、良平は強烈な眠気に導かれるようにベッドに戻り、今度は天井を見ることもなく、眠ってしまった。
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