モノゼブ

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数時間後目覚めた良平は、視界に飛び込んできた色彩に驚いた。いつもの自分の部屋の白い天井ではない。 ベビーピンクと真っ白なクッションが目にうるさかった。 ここは確実に自分の部屋ではない。飛び起きてみたが、視界の高さはほとんど変わらなかった。恐る恐るあたりを見回す。 ――これはブログの写真で見たことがある。ゆみみんの寝室だ―― 「ワン! ワン! ワン!」 嘘だろう? と声を上げようとしたが、いつもの自分の声にはならず、大型犬の鳴き声になった。 部屋の隅にあった、ドレッサーに飛んでいき、鏡を覗き込むとそこにあったのは良平の姿ではなかった。 ――ロビンだ!!―― つぶらで大きな瞳。金色の稲穂のようにつやつや光る毛並。首輪の代わりにまかれている、星条旗を思わせる、沢山星のついたバンダナ。それはまさに、良平がなれたらいいだろうと思っていた、椎名由美香が大切にしているペット、ロビンだった。
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