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施設で育ったこと。10代で、一人で由美香を産んだこと。ポツリポツリと話す由美香の母親に、良平は自然と体を摺り寄せていた。
ロビンの身体の記憶だろうか?
元の自分に戻りたい反面、この悲しい母親の側にいてやりたいと思ってしまうのは。
由美香の母親が自分に寄りかかって深い寝息を立てはじめても、良平はなかなか眠ることができなかった。
芸。
僕に何ができるだろう? このなれていない体で。リビングのケージの外を眺めながら良平はまんじりともせずそのことを考えていた。
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