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奇妙な老婆はお互い顔を見合わせると、そっくり同じに微笑みあい、スカーレットが、やんわりとこう言った。
「ほんとうに久しぶりに見つかりましたよ。いっそよそに行ってみようとしていましたのにねえ」
それにターコイズブルーもそっくり同じ唇を動かした。
「灯台下暗しと言えばよいのでしょうかねえ。けれどもまあ、やはりこの街にいるのが一番見つかりやすいのですよ。こんなに人がひしめいておりますものねえ」
二人そろって目を細めてから、良平に向き直り、スカーレットが良平に話しかけた。
「あなた、お名前は?」
「こ、河野良平です」
「そう良平さんと言いますのね。私(わたくし)たち、いつも人を探しておりますの」
「そうそう。なぜだか私たちに未来が見えない人がたまにいらっしゃるんですの。その方たちに、いつも同じ物をお渡しするんですよ」
「はっ?」
双子で、おばあさんで、揃いも揃っていかれてるんだろうか?
未来が見えない人がたまにいる?
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