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良平はスカーレットとターコイズブルーから、一刻も早く離れたかったが、どうしてもできなかった。
この双子の老婆が動くたびにみせるシンクロニシティに催眠術のように目が離せなくなっていたからだ。
別に何か危害を加えようとしているわけではなさそうだ。いかれた話に少しくらい付き合っても構わないだろう。
それでも座っている自分を覗き込まれるのは居心地が悪かったので、良平はゆっくり立ち上がった。
「僕の未来が見えないって言うんですか?」
「そう。ぴったり1時間30分後から先が全く見えないんですの」
ターコイズブルーは、大きな亀が金色の蓋に描かれた懐中時計を開いて、その針を目で追いながらそう言った。
ほんとにいかれてる。
「見えなかったら、どうだって言うんですか?」
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