第一話 罵り箱

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戸惑いつつ社内に入り、恐る恐るKを観に行くと、彼は他の社員が 遠巻きに眺める中、木彫りの箱に向かって叫び続けていた。 彼の声とは別に、 周囲に全く同じ調子の声による汚い言葉が響き渡っている。 そしてその声は、その箱から聞こえているようだった。 彼は箱の中からひっきりなしに聞こえる罵詈雑言に対し、 必死で言い返していたのだ。 「誰がバカじゃ!」 「お前こそ死ね!」 「殺すぞ!」 だが、箱の中からの声の方が、圧倒的に強く、勢いが止まらない。
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