第一話 罵り箱

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Kは精神病院へと強制入院させられ、現在でも呂律の回らぬ舌で呻 き続けているという。 会社はこの一件で世間への評判が決定的なものとなり、業績にも影 響し、先日倒産した。 現在、私は転職活動中であるが、色々と心配事がある。 どこかでJにバッタリと遭遇しないかということだ。 彼が何処にいるのか、全く分かっていないし、そもそも生きている のかどうかすら怪しい。 だが、Kに対して理解の及ばぬ方法で復讐を行ったのは、間違いな く彼である。 Jは私のことをどう思っているだろうか。 ロクに対処できなかった自分を、恨んでいるのではあるまいか。 妙な荷物が来ないところを見ると、この不安は杞憂らしいが、完全 にぬぐい去ることはできない。                        (第一話 完)
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