第一話 罵り箱

5/13
前へ
/22ページ
次へ
去年の二月、Jという男が中途採用で入ってきた。 元は別の会社で機械の修理を行っていた、20代後半の男だ。 彼は未経験であり、教育担当者が仕事をしながら指導を行う手はず となっていたのだが、その担当者が事故で入院してしまった。 新人教育を任せられそうな人間はすべて他の仕事を抱えており、ど うすべきかといった時に、Kが名乗りを上げた。 彼には前歴があるので、総務である私は渋ったが、Kが涙を流して 懇願したのに加え、「やらせてあげなさい」という社長の一声もあ り、KはJの教育を任せられた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加