屋敷の姫

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地獄の一時間目が終わって休憩時間の数分間は目の前の親友に問いつめられていた。 「ねぇ。栗さぁ。さっき炎城と一緒にいたでしょ」 目の前の親友の悪い顔が拓亜を見たことを物語っている。 「いいじゃない。家一緒なんだから。何一つおかしいことはないじゃん」 動揺しないように言い返す。 「そんなこといまここにいる奴らの前で言ってごらん?あんた、嘆かれるやら睨まれるやらでてんてこまいになるよ?」 親友である彼女、神威 柚葉(かむい ゆずは)は力んでそう言った。 「え。なんで?」 分かっているが惚け倒す。 「わかってねぇーな。学年一のイケメンの炎城拓亜と謎美女の不知火 栗だぜ?そんなの一秒で血祭りだぜ」 血祭り、と言った意味がわからないがそう言って柚葉に賛同するあたしの幼馴染みである、御原 灸(みはら やいと)。 「血祭りっつーより…まあ、血祭りには近くなるよね…」 灸の言葉を修正したかったらしいが当てはまる言葉が見つからなかったらしい。 この学校は校則が厳しいのだがそんなの気にしないらしく茶色に染めているそんな彼は幼馴染みの宮内 翔護(みやうち しょうご)である。 「うっせぇな。なんか自然に出てきたんだよ」 そんな翔護に灸は噛みついた。 「そんなの拓亜がいたら気になんないから別にいいよ」 あたしはそう力説する3人をもろともせずそう言ったが、3人は呆れたような表情をした。 「でた。ノロケ話。もーいいよねっ!許嫁ってっ」 柚葉の透る声はクラス全体を貫いた。 静まり返った教室の面々はあたしに注目する。 「許嫁っ?!!!!」 クラス全体に響き渡った声は波紋を生む。 そんな時に疑惑を晴らす必要さえ迫られなくなるのがチャイムの存在。 鳴ったチャイムと同時に次の授業を担当するあたしのクラスの担任が入ってきた。
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