屋敷の姫

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あたしたち4人の脳には同じ言葉が刻まれたに違いない。 その証拠に拓亜の肩越しに見える翔護と灸の顔は同じように引きつっていてクラス全員が時を止めたように固まっているのが見えたから。 「会いたかった・・・」 そんなことにも気づきやしないでいつもなら赤面しそうな発言を惜しげもなく発する彼に呆れそうになる。 でもさすがにそんな彼をないがしろにするのも憚られたからいつもどおりに答えた。 「あたしも。会いたかったよ」 すると拓亜は決まって優しげな笑みを浮かべて満足気に笑うの。 耳元で笑った声が聞こえた。 空気をつんぐさくような、でも悲鳴というより奇声に近い小さな叫び声がクラスにこだます。 その声にようやく異変に気づいたようで拓亜は離れた。 「なに?」 拓亜は振り返ってクラスを見回す。 そんな拓亜に呆れて柚葉が答えた。 「バカ。あんた秘密にしてたの忘れたの?」 「…あ」 「まぁ、いいんじゃね。こそこそすんのもめんどくせぇし」 灸はさもめんどくさそうに言う。 「ほら。お昼いこーぜ。皆うるせーし」 翔護があたしたちにそう声をかけて教室を出ていったのであたしはそんな翔護にならって教室を後にした。 昼休みが終わってクラスメートに質問攻めにされたのはまた別の話。
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