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***  カチ、という音がして、天井からぶら下がっている裸電球がじわじわと光を放ち始める。 「ちょっと暗いけど、もうすぐ外が明るくなるから、ガマンな」  室内が徐々に照らされていくと、去年の夏、一度だけ見た車庫の中の光景がゆっくりと広がった。  拓己は買った飲み物を棚の上に置いてから部屋の奥まで進み、暗がりと同化している黒っぽいカバーを引き上げた。  中から出て来たのはあの時見た空色のスポーツバイクだ。  あの日と同じように澄まし顔でバイクスタンドに収まっている。 「いつもカバー掛けてるの?」 「全然乗れてないから、埃被っちゃうんだよな」 「練習、忙しいもんね」 「せっかく買ったのに構かまってやってないから、たぶん拗ねてるな、こいつ」  そう言われると、何となくツンとそっぽを向いているように見えてくる。
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