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俊輔は真剣な表情でこちらに顔を近づけ、
「こちょこちょ」
「……」
「絶っっ対効くから、やってみ」
「わたしが、するの?」
「うん」
「拓己に? こちょこちょを?」
「そうだよ」
「……無理……」
「いやいや、これしかないって。
あいつ、いちいち理屈っぽいから口じゃ太刀打ちできないだろ。
ごちゃごちゃ言われる前にとにかく笑わせる。
笑ったら最後、笑わせたもん勝ち」
「……」
自分が拓己にこちょこちょをしているところを想像し、思わず頬が緩む。
「……分かった。今度会った時、やってみる」
「よし。コツはあれな、肋骨に指を引っ掛ける感じな」
俊輔は得意げに言って、ふとわたしの顔に目を留めた。
「……てか、めちゃめちゃ眠そうだな、お前」
言われた傍から大きなあくびをすると、俊輔は可笑しそうに笑った。
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