566人が本棚に入れています
本棚に追加
「俊輔……」
「ん」
わたしは俊輔の手を握り直した。
「消えないでね」
「……」
「ずっと、繋いでて。
もう、黙っていなくならないで……」
「……」
寂しそうな俊輔の微笑みに見守られながら、気怠い眠気の波を迎え入れる。
「……俊輔……」
もう少し話していたい。
そう思うのに、引きずられ、呑み込まれるように意識が遠のいていく。
─亜優。
眠りの淵に沈む直前、俊輔がわたしの名前を呼んだような気がした。
最初のコメントを投稿しよう!