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お風呂で体を温め、髪を乾かして部屋に戻ると、隣からすぐに兄がやって来て顔を出した。
「─少しは落ち着いた?」
「……うん。ありがとう」
わたしがベッドに腰掛けると、兄は傍らの絨毯の上に胡坐をかいて座り、こちらを見上げた。
「今日はもう寝ろよ。眠るまで俺がついててやるから」
「いいよ、大丈夫だよ。
そこまで子どもじゃないし、さすがにまだ眠くな……」
大きなあくびに言葉が途切れ、兄が可笑しそうに笑った。
言われた通りおとなしくベッドに入ると、布団を掛けた瞬間、本格的に瞼が重くなる。
兄は子どもの頃によくそうしてくれたように、わたしの手を握って髪を撫で始めた。
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