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「懐かしいな、これ。
……お前、こうしてやると絶対三秒で落ちてたもんな」
いくらなんでも三秒は大げさなのでは、と思ったけれど、あまりの気持ちよさに言い返す気力を失う。
自然と瞼が下りると、暗がりに拓己の顔が浮かび、わたしはすぐに目を開けた。
「ね……お兄ちゃん」
「ん?」
「本当、なのかな……」
「何が」
「拓己のこと。
本当にワイヤーは緩んでたのかな。
もしかしたら、事故の時に何かのはずみで……」
兄は小さくため息をついた。
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