May

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ある日のこと。 練習後のゆったりした空気の中、不意に琴音が口を開いた。 「ねえ璃子ちゃん」 「どうしたの」 璃子が琴音を振り返ると、 琴音は持っていたスマホの画面を璃子に見せ、ぼそりと言った。 「学院ハンサム」 「おいこら」 元ネタが分かるらしい璃子は語尾に草を生やす勢いでニヤニヤしている。 正直、雪乃には何のことかさっぱり分からない。 「何それ」 って訳で琴音になんのことか尋ねてみると、琴音は一言「ホモゲ」と言い放った。 ホモゲ…って、男×男のアレ? 乙女ゲームの男の子版? あれ?ちょっと違う? 「…乙ゲじゃないんだ」 「突然のHOMO」 「時枝自重しろ」 「ところでさ」 「うん」 琴音が真面目な表情を浮かべたので、釣られて真顔になる雪乃。 何かシリアスな話でもあるのだろうか。 「平井さんと三角さんでホモストーリーできるんじゃないかな。薄い本。スマホスマホ」 …何なんだこいつは。 真面目な顔して何抜かしてやがる。 「やーめよっかー。明日からどんな顔してサークル行けばいいのか分かんなくなる」 「え、ねぇねぇ琴ちゃん、その場合、平井さん攻め?」 と、突然の萌参戦。 萌はジャニオタじゃなかったか。 まさかこいつ…と雪乃が唖然としていると 「身長差としては三角さん受けが美味しいけどリバで平井さん受けも良い」 琴音が大真面目に語りだす。 「鬼畜メガネか受けメガネってとこかな」 「ゆげちゃ」 「うーん、受け眼鏡は見たくないなぁ、フフフッ」 う、うわぁ 何だか取り返しのつかないことになってる気がする 女子校での腐女子トークは日常茶飯事だけど、ここ一応共学だからね、そこ男子いるよ? いやでもちょっと楽しいから困る! やっぱり女子高の血がたぎるッ!!! 助け舟を求めようと栞に視線を送ると、女子校出身の栞もなんだか楽しそうに話を聞いている。 そして男子4人は見事なまでにスルーしている。 おかしい。 私含め、絶対、なにかがおかしい。 「もうやだこのサークルwww」 璃子が、大笑いしながらツッコんでいた、とある雨の日。 全くだ。
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