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「……のちゃん、雪乃ちゃん」
遠く意識がとんだ先で、名前を呼ばれた気がする。
雪乃は寝ぼけ眼でのそりと起きあがり、声のした方へ向き直った。
「どうしたの」
「雪乃ちゃんあたってるよ」
「えっ」
一気に現実に引き戻される。
「桜木さん、いませんか?」
英語の野上教授が、教室内を見回している。
……ああ。ヤバい。
「はい、私です」
「じゃあ桜木さん、2番の問題の答えを」
……そもそも何ページ?
2番って。
「分かりません」
「ちょっとは考えて」
考えるもなにも。
と言うかさあ。
あああ、もう!寝てるときに指名しないでくださいよ。
選抜討論会の準備だけでもだいぶんバテバテなのに!
あんたが英文科並みのレポート書かせるから寝不足なんだって!
素晴らしく逆ギレ。
「次にしてください」
ぶっきらぼうに返事すると、野上教授が少しだけ困ったような顔をした。
「じゃあ、伊吹さん」
次の生け贄は……凛か。
ごめんね、私が丸投げしたばっかりに。
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